nekocart - 2022.1.12

ブログの更新が大分滞ってしまいました。すみません。

実は、非常に悲しいお知らせなのですが、弊社の1号サービスであったnekocartのサービスを終了させていただくことになりました。

サービス終了に至った理由は後程説明させていただくとして、まずはnekocartお試し版にご登録いただいたお客様には心から御礼申し上げます。皆様がより簡単に安くネットショップを立ち上げることを目的とした当サービスでしたが、弊社内にて慎重に検討を重ねた結果、事業戦略上限られた資金・人的リソースの中で当サービスのお試し版ならびに正式版をリリースすることは困難との判断に至りました。短い間でしたが、誠にありがとうござました。

正直、失敗談は書くのは筆が重いのですが、反省もかねて社内で共有したサービス終了の理由を掻い摘んで紹介したいと思います。

2~3年の目先の利益を追いかけるのではなく、せっかくやるなら次の10年を飛躍し続けるような会社を作ろう。というのは、この3か月間、共同創業の仲内とひたすらに議論をしてすり合わせてきたWIREBASEの今後の経営観と方針です。そのためにはサービスのアイディアも長期間飛躍し続けるものでなければなりません。nekocartはそれに耐えうるのかと考えた時、僕らが出した答えはNoでした。

理由の全てはBASE/Stores.jp(認知度の高い大手ECカートサービス)と薄利な手数料設定にありました。現在、BASEやStores.jpなどの大手ECカートだけでも約250万人程度の開設者数がいます。これは日本の全人口1億2500万人において約50人に一人がすでにECカートを開設しているという計算になります。大手で認知度も高いサービスがこれほど浸透している市場は冷静に考えると、よほどニッチな層をターゲットにしない限りスタートアップが参入する余地はありません。

また、我々が初期的な仮説として立てていた「人々はもっと簡単にネットショップを立ち上げられる方法を求めているのではないか」というのは、すでにBASEとstores.jpによって解決されていた課題だったのです。これはBASE/Stores.jpのシェア率を見ても一目瞭然ですし、実際に市場に出してみるとお客様の反応はイマイチで、「BASEでいいよね」という声がお客様のみならず、社内からもでてくるようになりました。

我々はこれを初期費用0円、取引手数料0.5%という破格の収益モデルで提供しようとしたのですから、当然ビジネスとして限界があるのは明らかでした。手数料の低さは差別化要素にはなり得ません。単純に大手サービスが手数料を下げたら終わりだからです。限られた資金・人的リソースの中では、もっと本質的な価値で戦わなければサービスが飛躍することはありません。特にすでに認知度の高い先行者が存在しマーケットシェアを獲りにいくのですから、小手先の価値だけでなんとかなる話では全くないのです。

上記を踏まえると、もっと早い段階で入念な市場調査と課題検証、ビジネス検証ができたはずでした。今思えば、見切り発車で開発を始めて根拠のないやる気でお試し版のリリースまでは漕ぎつけたのですが、かなりの時間とコストをかけてしまいました。アイディアを着想したら、見切り発車で開発を始めるのではなく、まず人力で小さく課題検証とビジネス検証をすること。併行して、市場環境の徹底的な理解が必要です。

例えば、nekocartの場合だと、BASEで既にネットショップを開設しているお客様と話して初期仮説を検証したり、反応がよければ似たようなツール(nekocartの場合だとtypeform)を使って自前でネットショップらしきものを作って使ってもらうなど、コストをかけずに短期間で課題検証とビジネス検証ができたはずです。

市場調査においても同じです。ネット上の表面的な情報だけを頼りにするのではなく、実際に競合となりうるサービスを使って本格的なネットショップを立ち上げてみる、全ての機能を入念にチェックする、など、できたことは山ほどあります。

課題検証/ビジネス検証を通じて得た示唆と市場調査の結果を総合的に勘案してGo/No Goを判断すれば、間違いなく経営判断を誤ることはありませんでした。

この経験を通して学んだことは計り知れず。上記は学びの本質的な部分だけを掻い摘んで記していますが、社内で洗い出した失敗はこれ以上に多くあります。起業家としての未熟さ、甘さが改めて実態として反映された苦い経験でした。

ただ、失敗を失敗だと認識することも重要なのですが、それ以上に、この経験を会社全体でどう次に活かして会飛躍につなげるかの方が重要だと思います。まだまだ未熟ですが、この機会を糧に更なる飛躍に向けて精進したいと思います。どうか引き続き暖かく見守っていただければ幸いです。

中村伸志